「7つの打つべき機会」を知っていますか?
知らない人や、全部は分からないという人も多いのではないでしょうか。
いかがですか?
全てを暗記する必要はありませんが、これらの「打つべき機会」をよく知らないまま剣道の試合で勝てている人は、何となく直感で勝てているだけだと思います。
逆に、あなたが試合で一本をとった全ての打突が、7つの打つべき機会のうち、どの機会で打ったのかすぐ理解できるくらいに極めれば、試合の勝率は飛躍的に上がることでしょう。
「打つべき機会」を知ることは、考えながら試合をすることの出発点であり、剣道の真髄に繋がっていきます。
ぜひ楽しみながら読んでみてください!
結論から言います。
打つべき機会とは、こちらが打ちにいっても、相手が防御しない瞬間のことを言います。だから、打つべきなのです。
例えば「打つべき機会」として一番有名で大切な、「出ばな(相手が動こうとしたところ)」について考えてみましょう。
なぜ、出ばなの機会であなたは打つべきなのか、考えたことはありますか?
確かに5年以上剣道をしていれば、「相手が動こうとしたところ」で打ちにいくと、勝てることが多いと感覚で分かってきます。
しかし、相手が動こうとしているのにどうしてこちらが勝てるのか、強い選手でもちゃんと説明できる人は少ないのではないでしょうか。
そもそも、相手が動こうとしてることを察知してから、こちらが打ちに行ったら、相手の方が早く打ち始めて、こちらに不利になるんじゃない?と疑問に感じてる人も多くいると思います。
私もそうでした。
その疑問に対する答えに、根本的に答えると、以下のようになります。
これがズバリ「出ばな(相手が動こうとしているところ)」で打つと勝てる理由です。
他にも6つの打つべき機会がありますが、相手が防御しない瞬間、という意味では共通しています。
「打つべき機会」は、隙がない相手には何を打っても防御されてしまい一本をとれないことが前提にあって、相手が防御しない瞬間とはどういう時かをまとめたものなのです。
「出ばな(相手が動こうとしたところ)」以外の打つべき機会は6つあります。
他の6つの機会も、相手が防御しない瞬間、という意味で共通しています。繰り返しになりますが、相手が防御しないからこそ、こちらが打ちにいっても、面、小手、胴、突きが空いているので、しっかり打突部位を捉えることができるのです。
「相手が技を受け止めたところ」では、以下のような技で一本をとることができます。
技を受け止めたり、受け止めようとしている瞬間、面や小手など一部分を固く防御しますが、その代わりに別な部分が防御されていない状態になります。
この機会では、小手面などの2段打ちや、フェイントを使うことによって一本をとることができます。
腹筋や腕立て伏せ、ランニングでひと段落ついた時、人は誰でも「ふぅ」と一息つきますよね。
剣道の試合中、相手の技がひと段落し、「ふぅ」と一息入れる瞬間。その瞬間こそが、打つべき機会「相手の技が尽きたところ」です。
これらが狙いどころになってくると思います。
隙が無いように構えているつもりだったけど、実はボーっと立っているだけで、そこを打たれてしまった。そんな経験はありませんか?
それこそがまさしく「居付きの状態」です。
「居着き」は見分けることが非常に難しいと思います。
そこで、ここでは「居着き」を見分けられるだけの経験を積む方法をご紹介します!
それはズバリ、練習試合で一足一刃より少し遠い間合いから、試しに面を思い切って打ってみるというものです。
いつもは打たないような、一見相手が崩れているわけではない時に打ってみるのです。
私はこの「相手が引こうとしたところ」を拡大解釈しています。
それは、「相手が前後左右に動くために足をゆっくり動かしている途中」というものです。
その中で、「相手が後ろに動くために足をゆっくり動かしている途中」がより安全に一本を取りやすい、という印象です。
剣道の試合で無意味に前後左右に足を動かす人は意外とたくさんいます。一か所に留まっていることが何となく気持ち悪く、リズム感もなく、不安になるから、とりあえずそれっぽく足を動かしている、というのが彼らの本音なのです。
そういう、ただ足を動かす時、当然片方の足は浮き、一方の足に全体重が乗った状態になります。そして、何も考えていないので、攻撃するか防御するか決めていない心理状態です。
その時ふいに打たれると、足が思った通りに動かせず、反応が遅れて、驚いて攻撃に来ようものなら、完璧な打つべき機会となるのです。
防御してきたとしても、足が安定していないため反応が遅れて、不十分な防御になるため一本をとることができるのです。
「相手が引こうとしたところ」では、こちらが攻め勝っていて、自分が前に出て、相手が下がる状況を想定しています。そして、相手が下がっている状態なら攻撃してこず、中途半端な防御しかできない状態なので、相手が前左右に移動している時よりも低リスクで一本を狙うことができます。
相手が何しようとしているかなんて分かるわけないじゃん!
何それ!?
そう思ったことはありませんか?
これは、相手が「~」をしようとしていると察知し、相手が動き始める前にこちらが打ち始めると、ちょうど相手が「~」をしている瞬間に打つことができる、という意味なのですが。
ここで、エスパーじゃないんだから相手の心なんて読めるかよ!という疑問を解消しておこうと思います。
相手の心を読むのではなく、相手の心をコントロールすればいいのです。
相手を怖がらせれば相手は下がろうとします。相手が何をしてもこちらが動じなければ、相手は何となく前後左右に足を動かそうとします。相手にプレッシャーをかけている時に、こちらが剣先を少しズラせば、相手はチャンスと勘違いして、打とうとしてきます。
相手の心をコントロールして、こちらの思い通りに「打つべき機会」を作り出し、勝利を確信して捨て身で打ち込む。
これが剣道の真髄です。
「相手の心が乱れている時」というのは、打つべき機会そのものというよりも、他の打つべき機会が狙いやすくなる、根源的な心理状態だと解釈すれば良いと思います。
相手の心が錯乱状態と言えるくらいボロボロに崩れていれば打ち放題なのでしょうが、ただ少し心が乱れているところに真っ直ぐ打ちにいっても防御されてしまいます。
しかし、相手の心が乱れている時、少し誘えばすぐ打ってきますし、相手が技を受け止めた後も、相手の技が尽きた後も、かなり気が抜けますし、少し攻めれば下がります。
「相手の心が乱れている時」、試合がイージーモードになるのです。
「相手の心が乱れたところ」については、別ページで掘り下げてまとめているので、そちらを確認してみてください。
「相手より平常心でいられれば、勝ち!」 ページへGO!「相手に油断が生じたり集中力が切れたところ」は、前の「相手の心が乱れたところ」の逆バージョンだと解釈すればいいと思います。
というイメージです。
相手が油断していたり集中力が切れている時も「心が乱れている時」と同様に、少し誘えばすぐ打ってきますし、相手が技を受け止めた後も、相手の技が尽きた後も、かなり気が抜けますし、少し攻めれば下がります。
「相手が油断していたり集中力が切れている時」、試合がイージーモードになります。
さて、打つべき機会を、以下のように理解できてきたでしょうか?
もしあなたがここまで読んでみて、今までこれらを意識せず何となく試合をしていただけだったと感じたなら、それは飛躍的に剣道が強くなるチャンスに間違いありません!
剣道は、考えながら試合をすると勝率が格段に上がるのです。
最後に、これらの打つべき機会について気付いていただきたいのが、あなたが打つ瞬間も、相手にとっては打つべき機会であるということです。
あなたが打ちたいと思ってから、打ち始め、打った後まで、相手にとっての打つべき機会です。
攻撃は最大の防御とは言いますが、何も考えず闇雲に打ちに行くことは自殺行為と言えるでしょう。
だからこそ、打つべき機会以外で打つべきではないのです。
打つ前の攻め合いで、心の崩し合い、相手のコントロールに勝った状態で、打ちに行かなくてはいけません。
剣道の攻め合いでは、相手にコントロールされてるフリをして逆に油断させるということも考えられます。
そういう攻め合い、騙し合いを楽しみながら、相手を上回ることができる人が、安定して試合に勝つことができるのです。